2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規リン酸化酵素の骨格筋疾患における病態生理学的意義の研究
Project/Area Number |
20599016
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中川 修 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40283593)
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Keywords | 骨格筋疾患 / リン酸化酵素 |
Research Abstract |
私たちは、骨格筋特異的転写因子Mef2cの下流遺伝子の探索を行い、心筋および骨格筋に特異的発現を示す新規のリン酸化酵素遺伝子Srpk3を同定した。Srpk3の生体における意義を明らかにするため、まず欠損モデルとしてSrpk3 KOマウスを解析したところ、KOマウスは骨格筋の成長障害と残存中心核を特徴とする組織学的異常を示し、Srpk3の筋肉における重要性が示唆された。さらに今回の研究では、Srpk3の機能メカニズム、特にSrpk3のRNA splicingにおける意義を明らかにすること、リン酸化対象となる基質を明らかにすること、さらにヒト疾患におけるSRPK3の病態生理学的意義を解析することを目的としている。現在までに私たちは、Srpk3 KOマウスの骨格筋RNAを用いてmRNA splicingパターン解析を行った。興味深いことに、KOマウスにおいて増加・減少するmRNA isoformが多数認められた。今後、これらのスプライシング変動遺伝子の骨格筋機能を個別に解析してゆく必要がある。また、Srpk3 KO・Srpk3過剰発現トランスジェニックマウスを用いたSrpk3基質同定を試み、複数の新しい基質候補を得た。しかしながら、これまで解析した候補分子はSrpk3による直接の基質ではなく、むしろSrpk3発現により二次的に活性化される酵素によってリン酸化されていることが示唆された。今後、他の基質候補分子について解析を進める必要がある。一方、Splicing factorなどの既知のSrpk基質を用いた実験においては、ヒトcentronuclear myopathy 2症例において認められたSRPK3アミノ酸置換による酵素活性の変化は認めなかった。ヒト疾患におけるSRPK3の意義については今後の検討の課題となった。
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