2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20599018
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
中村 幸志 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (80422898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 秀昭 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00097437)
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Keywords | 長時間勤務 / 血圧 / 職種 / 追跡研究 |
Research Abstract |
某製造業事業所に勤務する20-55歳の男性正常血圧者(除交代勤務者)1,316名を5年間追跡して超過勤務時間と高血圧発症との関係を検討した。対象者を一ヶ月あたりの超過勤務時間に基づいて5グループ(<20.0、20.0-39.9、40.0-59.9、60.0-79.9、≧80.0時間/月)に分け、この5グループ間で高血圧(収縮期血圧≧140mmHg、拡張期血圧≧90mmHgまたは降圧薬服用)の発症のリスクを比較した。<20.0時間/月を基準とした他の4グループでの高血圧発症のハザード比をCox比例ハザードモデルでベースライン時の年齢、Body Mass Index、生活習慣、平均血圧、職種を調整して計算したところ、<20.0時間/月を基準とした他の4グループでの高血圧発症の多変量調整ハザード比は、それぞれ0.98、1.03、0.78、1.61であった。≧80.0時間/月の超過勤務者で統計学的に有意ではなかったものの高血圧発症のリスクがわずかに上昇する傾向が見られた。長時間勤務というストレスの曝露直後の血圧への微細な影響をみるために、ベースラインから1年後の収縮期および拡張期血圧の変化量の平均値を5グループ間で比較したところ、同じく統計学的な有意差はなかったものの≧80時間/月の超過勤務者で血圧、特に拡張期血圧がより上昇する傾向が見られた。職種で層別化した場合、ブルーカラー職でもホワイトカラー職でも同様に≧80時間/月の勤務者でほぼ同様な傾向が見られたが、ブルーカラー職の≧80時間/月の超過勤務者での拡張期血圧の上昇(+6.2mmHg)は<20.0時間/月および20.0-39.9時間/月の超過勤務者の拡張期血圧の上昇(ともに+1.6mmHg)と比べて統計学的に有意であった。職域での血圧管理において、長時間勤務は注意すべき危険因子であるが、職種によって影響が異なるかもしれない。
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