2008 Fiscal Year Annual Research Report
サリン・メタミドホス等の有機リン系毒物の新規ターゲット酵素の探索に関する研究
Project/Area Number |
20599022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
柘 浩一郎 National Research Institute of Police Science, 法科学第三部, 主任研究官 (90356204)
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Keywords | 神経ガス / サリン / メタミドホス / 質量分析法 / プロテオーム / 中毒 / ショットガンプロテオミクス |
Research Abstract |
当初の研究計画では、神経ガス結合セリン残基に特異的なモノクローナル抗体を作製する目的で、各種アルキルホスホニルセリンを合成し、各種セリンエステラーゼ類のアミノ酸配列の相同性を勘案し、これを含む10残基程度の合成アミノ酸を作成する計画であった。しかしながら、米国企業から市販されている合成原料が米国の化学兵器関連物質輸出禁止措置によって入手が不可能となり、これを自ら合成することが必要となった。そこで、本化合物につき、三塩化リンを原料とする合成法を確立し、合成原料を得た。当年はこのような予測外の困難が伴ったことから、研究計画を一部変更し、2年度目で実行予定であった質量分析法(ショットガンアプローチによるプロテオーム的タンパク質同定法)を用いた標的タンパク質のスクリーニング法の開発を前倒しで行った。Thermo Fisher Scientific社製LTQ/Orbitrap質量分析計と、神経ガスが結合するモデル酵素であるα-キモトリプシンおよびヒト血漿ブチリルコリンエステラーゼと有機リン系化合物を用い、質量分析計の測定条件とデータベース検索による神経ガス付加部位自動検出のためのパラメータ設定を行った。その結果、Orbitrapの特長であるFTモードでの高分解能測定を用い、ニュートラルロス測定を行うことにより、神経ガス結合ペプチドが特異的に検出できることがわかった。さらに、MS3測定を行ない、最適化されたパラメータを設定したBioworksソフトウェアを用いることにより、ほぼ自動的に神経ガス結合部位および当該ペプチドのアミノ酸配列が同定可能であった。本分析法を用いることにより、未知の神経ガス付加タンパク質(ペプチド)を特異的、かつ自動的に検出できるものと考えられた。
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Remarks |
基盤C
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