2009 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクリングMHCクラスII分子による抗原提示を利用した癌ワクチンの開発
Project/Area Number |
20599023
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Research Institution | Department of Clinical Research National Hospital Organization, National Sanyo Hospital |
Principal Investigator |
三村 雄輔 Department of Clinical Research National Hospital Organization, National Sanyo Hospital, 臨床研究部, 生理生化学研究室長 (00219718)
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Keywords | 抗原提示 / MHC class II molecules / CD4+ T cells / Protein folding / 癌ワクチン |
Research Abstract |
当該年度は腫瘍抗原gp90のエピトープ検索と、そのエピトープを抗体分子の相補性決定部位CDRに組み込んだ癌ワクチンの作成を計画した。gp90の抗原性に関して、CT26細胞により部分的に折りたたまれたgp90分子種はCD4+T細胞ハイブリドーマを刺激するが、CHO細胞に産生され、密に折りたたまれたレコンビナントgp90はT細胞を刺激しなかった。しかし、抗原提示細胞をタンパク分解酵素阻害剤leupeptinで処理するとレコンビナントgp90でも幾分T細胞刺激が検出された。その抗原提示にはleupeptin濃度1.5mM、抗原パルス8時間後に抗原提示細胞のグルタルアルデヒド固定を必要とした。この結果はレコンビナントgp90がT細胞に提示されなかった理由が、後期エンドゾームなどでのタンパク分解酵素によるエピトープの破壊が起こったためである事を示す。gp90エピトープ検索は未だに困難を極めているが、この知見を利用する事によりレコンビナントgp90の全長を徐々に短くしてエピトープ候補を狭めていけると考える。この方法は他のMHC class II拘束性抗原にも応用可能であり、成功すれば免疫学への大きな貢献になると思われる。 一方、ワクチン作成用抗体分子のH鎖とL鎖のcDNAをIRESベクターに組み込み、CHO細胞によるレコンビナントIgGの発現に成功した。次年度はCDRに卵白アルブミンのCD4+T細胞エピトープを組み込み、抗原提示細胞表面や前期エンドゾームに存在するリサイクリングMHC class II分子により効率的に提示されるかどうか検討する。
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