2010 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクリングMHCクラスII分子による抗原提示を利用した癌ワクチンの開発
Project/Area Number |
20599023
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Research Institution | Department of Clinical Research National Hospital Organization, National Sanyo Hospital |
Principal Investigator |
三村 雄輔 独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 生理生化学研究室長 (00219718)
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Keywords | 抗原提示 / MHCクラスII分子 / CD4+T細胞 / 癌ワクチン / Protein folding |
Research Abstract |
今年度は抗体分子の相補性決定部位CDRに卵白アルブミンのCD4+T細胞エピトープを組み込み、この蛋白が抗原提示細胞表面や前期エンドゾームに存在するリサイクリングMHCクラスII分子により効率的に提示されるかどうか検討した。抗体H鎖、L鎖の発現ベクターを構築し、そのH鎖のCDR3ループの中間に卵白アルブミン配列323-335(13アミノ酸残基)に相当する塩基配列を挿入した。このベクターを哺乳類細胞株2種と大腸菌に導入し、発現、精製した。現在それらの蛋白を用いて、B細胞株と卵白アルブミン特異的CD4+T細胞株による抗原提示とリサイクリングMHCクラスII分子の関与を分析中である。 昨年度から検討していた腫瘍抗原gp90のエピトープ検索に関しては、gpNドメインの12個のシステイン残基を1つずつアラニンに変換し、folding(折れたたみ)を変化させた。gpCドメインは哺乳類細胞株では発現が見られなかったが、大腸菌にて発現が可能であった。しかし、これらの蛋白によるT細胞の刺激は認められなかった。今後2つずつシステイン残基をアラニンに変換させる。 蛋白抗原のfoldingと抗原性の関係に関しては、gp90産生細胞株に酸化還元酵素Ero1a(wildtype, dominant negative株)を遺伝子導入し抗原提示に対する影響を調べる為の予備実験を行ったが、抗原性への影響を確認できなかった。この理由として、Ero1a遺伝子導入の効率の低さが考えられた。今後は遺伝子導入の至適化を行い、蛋白抗原の抗原性に酸化還元酵素がいかに影響するか再検討する。 本研究課題の追究は、リサイクリングMHCクラスII分子により提示される腫瘍抗原エピトープの周辺領域のfoldingを明らかにし、癌免疫療法用ワクチン開発に寄与するものである。
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Research Products
(3 results)