2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛発症トリガー因子としての“Nav1.9燃え上がり現象"の基礎的解析
Project/Area Number |
20602002
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
緒方 宣邦 Hiroshima University, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80091255)
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Keywords | 慢性疼痛 / ナトリウムチャネル / 一次知覚神経 |
Research Abstract |
野生型(WT)マウスと,痛みとの関連が指摘されているサブタイプであるNaV1.8を欠失したNav1.8ノックアウト(KO)マウスから後根神経節(DRG)細胞を単離し,IB4による生体染色を行い,IB4陽性細胞と陰性細胞を同定した.ホールセルパッチクランプ法を用いて,各タイプの細胞に発現する各種Naチャネルの電気生理学的性質を解析し,活動電位の発生に果たすNaチャネルサブタイプの機能分担について検討した. その結果,WTマウスのIB4陽性細胞,陰性細胞共に,静止膜電位付近ではNaV1.8によるTTX-R/slow Na電流が活動電位の主体となっていることが示された.しかし,膜電位が過分極側になると,IB4陰性細胞でのみ,TTX感受性サブタイプによるTTX-S/fast Na電流が活動電位の一部を形成していた.このような違いが,それぞれの細胞群が異なる痛みの伝搬に関与していることと関連している可能性が考えられた. 一方,NaV1.8KOマウスのDRG細胞においては,IB4陽性細胞,陰性細胞共に,NaV1.8の欠失により,静止膜電位付近で主体となるNa電流がTTX-S/fast Na電流にスイッチし,代償的に働いている可能性が示唆された.さらに,IB4陽性細胞ではNaV1.9によるTTX-R/persistent Na電流のアップレギュレーションが見られ,このサブタイプもNaV1.8を代償している可能性が考えられた.これらの結果より,IB4陽性細胞および陰性細胞は痛覚伝搬において異なった役割を担っていると考えられた。
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