2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛発症トリガー因子としての“Nav1.9燃え上がり現象"の基礎的解析
Project/Area Number |
20602002
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
緒方 宣邦 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 名誉教授 (80091255)
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Keywords | ナトリウムチャネル / 一次知覚神経 / 慢性疼痛 |
Research Abstract |
侵害情報を伝搬する小型DRGニューロンに特異的に発現しているNa_v1.9は他のNaチャネルよりも深い活性化閾値を示し、持続型Na電流を発生させる。このため、Na_v1.9電流は活動電位の閾値下での興奮性の制御を担っていると考えられている。これまでに私たちの研究室では、voltage-clamp法による電流記録中にNa_v1.9電流のピーク値が経時的に数倍以上に増大し、その後に減少する現象(キンドリング)を見出した。しかし、この現象の調節メカニズムの詳細は不明である。そこで今回、私たちはキンドリングに対する細胞内環境変化の影響について検討した。対照群において発生するキンドリングは、細胞内ATP(3mM)存在下においてほぼ完全に抑制されることが見出された。一方、GTP(0.5mM)およびprotein kinase C (PKC)活性化薬PMA(100nM)存在下ではキンドリングの抑制は認められなかった。さらにsteady-state inactivation(h-カーブ)に対する効果も検討した。PMA存在下では保持電位-80mVではピーク電流値が次第に減少するが、-120mVでは維持されており、h-カーブの過分極側へ移行が確認された。しかしATPおよびGTP存在下では有意な変化は認められなかった。以上の事より、細胞内ATPが枯渇するような神経障害時にはNa_v1.9電流が増大し、神経細胞の興奮性に対して促進的に作用することが示唆された。一方、PKCの活性化によりNa_v1.9の開口確率が減少し、神経細胞の興奮性に対して抑制的に作用することが示唆された。Na_v1.9電流は細胞内環境の変動に強く影響を受け、病的な痛覚の伝達は、このような調節機構のバランスの破綻により、なされている可能性が考えられる。
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Research Products
(1 results)