2008 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疼痛治療における神経伝達調節レベルの薬効評価に基づいた創薬基盤の創設研究
Project/Area Number |
20602004
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田辺 光男 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 准教授 (20360026)
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Keywords | 神経因性疼痛 / 抗てんかん薬 / ギャバペンチン / protein kinase A / HCNチャネル / 脊髄スライス / シナプス伝達 / SSRI |
Research Abstract |
1,我々は既に,抗てんかん薬ギャバペンチンが神経因性疼痛モデルマウス(Seltzerモデル)の脳幹スライス標本の青斑核ニューロンでGABA性抑制性シナプス電流をprotein kinase A (PKA)依存的に抑制することを見出している.このin vitro電気生理学的研究結果を行動薬理学的研究にフィードバックさせた.すなわち, SeltzerモデルマウスにPKA阻害剤H-89を脳室内投与すると,その後に脳室内投与したギャバペンチンが神経因性疼痛緩解作用を示さなくなることを明らかにした. 2.我々は既に,後根を付して作製するマウス脊髄スライス標本の後角ニューロンにおいて,A-線維あるいはC-線維を介する単シナプス性興奮性シナプス後電流(EPSCs)をHCNチャネル阻害剤ZD7288が抑制することを示している.本年度は,微小興奮性シナプス後電流(mEPSCs)に対するZD7288の作用を解析し,ZD7288はmEPSCsの振幅には影響を与えずに頻度を抑制することを示し,脊髄内投与したZD7288の神経因性疼痛緩解作用が一次求心性線維終末にあるHCNチャネルに作用した結果であることを裏付けた. 3.マウス脊髄スライス標本の後角ニューロンにおいて,選択的セロトニン再取り込み阻害薬フルボキサミンは自発性EPSCsおよびmEPSCsの頻度を増強させた.我々は既にフルボキサミンがA-線維あるいはC-線維を介する単シナプス性EPSCsを抑制するため,両者の乖離を詳細に検討中である. 4.神経因性疼痛時に認知機能障害の生じる可能性を示し,海馬におけるグリシン取り込み増加によるNMDA受容体を介する興奮性伝達の低下をシナプスレベルで解明した. 5.脊髄で神経神経因性疼痛維持に関わる一酸化窒素とその下流シグナルを論文化した.
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