2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドノシスタチン結合タンパク質による疼痛制御
Project/Area Number |
20602011
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
芦高 恵美子 関西医科大学, 医学部, 講師 (50291802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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Keywords | ノシスタチン / ノシスタチン結合タンパク質 / 疼痛感作 / 炎症性疼痛 |
Research Abstract |
神経ペプチドノシスタチンは、神経因性疼痛に伴い発症するアロディニアや炎症性疼痛に対し抑制効果を示す。我々は、ノシスタチン結合タンパク質(NSP1)の同定に成功した。NSP1は、後シナプス肥厚部に存在することが報告されているが、機能不明のタンパク質である。そこで、NSP1の遺伝子欠損マウスを作製し、その表現型からその機能に迫るという戦略をとった。遺伝子欠損マウスでは、ノシスタチンによるアロディニアの抑制効果が消失したことより、ノシスタチンによる痛覚伝達に関与する分子であるがその詳細な機序は明らかではない。本年度は、NSP1のプロセッシング、局在、疼痛制御における位置づけおよび会合分子に関する解析を行い以下の知見を得た。 1.NSP1の細胞発現系の解析により、NSP1は、N末端アミノ酸がプロセッシングされた29kDaのC末端側を細胞内ドメインとする膜一回貫通型の膜タンパク質であることが明らかになった。29kDaのタンパク質は、脳、脊髄、肝臓および腎臓に発現しており、シナプス膜画分とミトコンドリアに局在していた。 2.NSP1遺伝子欠損マウスでは、痛覚伝達に関与するグルタミン酸受容体、一酸化窒素合成酵素、神経細胞、グリア細胞のマーカータンパク質の発現に顕著な変化は認められなかった。しかしながら、遺伝子欠損マウスでは、カラゲニン投与1日後における熱刺激に対する痛覚過敏反応の増強が認められた。また、ホルマリン試験のII層の後半期における痛覚反応の亢進と、それに伴う脊髄におけるERKのリン酸化の増強が認められた。 3.NSP1に会合するCa透過性チャネルが明らかになった。 NSP1は、炎症性疼痛における中枢性感作の維持機構に関与する分子であることが示唆された。今後、NSP1会合分子による修飾機構を中心に、NSP1の生理機能および疼痛制御機構を明らかにする。
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Research Products
(10 results)