2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20602014
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大西 隆之 Niigata University, 医歯学系, 助教 (30418959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 講師 (70276393)
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Keywords | シグナル伝達 / 脳・神経 / 神経科学 |
Research Abstract |
中枢神経系で一酸化窒素(NO)の産生はN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体を介したCa^<2+>の流入による神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の活性化と密接な関係にある。PSD-95はシナプスでPDZドメインを介してNMDA受容体とnNOSの両方と相互作用する。nNOSはPSD-95を介してNMDA受容体の近傍で効率よく活性化される。我々はnNOSのN末端のPDZドメインを含む欠失変異体とYFPとの融合タンパク(nNOSNT-YFP)を作製し、これを安定的に発現するPC12細胞を作製し、細胞膜へのnNOSNT-YFPの移動を定量的に測定する系を構築した。 ATPの受容体にはP2X受容体とP2Y受容体があり、これらの受容体は神経因性疼痛の発症や維持に重要な役割を担うことが知られている。ATPとNOは神経損傷後の神経応答で鍵となる役割を担うがATP受容体によるnNOSの活性化の機構はまだ明らかになっていない。本年度ではこの系を用いてATPとnNOSの活性化の機構を明らかにするために、まずNNDAとforkolin(FK)存在下でPC12N細胞をATPで処理したところ、nNOSNT-YFPの細胞膜への移動が観察された。P2X受容体やP2Y受容体のアンタゴニストによってATPによるnNOSNT-YFPの細胞膜への移動が減少した。また、NNDAとFK存在下でP2X受容体やP2Y受容体のアゴニストによりnNOSNT-YFPの細胞膜への移動が観察された。更にこれらのシグナル伝達経路を明らかにするために種々の阻害剤を用いて調べたところPKAやPKCの経路がnNOSNT-YFPの細胞膜への移動に関与することが示唆された。 これらの結果はATPによるnNOSの細胞膜への移動はP2X受容体またはP2Y受容体を介したPKAとPKCの活性化が重要であることを示している。
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