2008 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル国におけるインフルエンザの疾病負荷に関する研究
Project/Area Number |
20603001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神垣 太郎 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (80451524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押谷 仁 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80419994)
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Keywords | 感染症 / 公衆衛生 / ウイルス |
Research Abstract |
新型インフルエンザの危険性が高まっている中で、2005年には高病原性鳥インフルエンザ(A/H5N1)が野鳥から検出されたモンゴル国では、新型インフルエンザを含めた包括的なインフルエンザ対策を緊急に進めていく必要がある。急性呼吸器感染症はモンゴルを含む発展途上国の死亡原因の上位に位置するが、その中でインフルエンザの占める割合についてはわかっていない。我々は今回、モンゴル国におけるインフルエンザの疾病負荷(Disease burden)を、超過死亡率を算出する方法で検討を行い、同国におけるインフルエンザの公衆衛生上のインパクトを明らかにする。平成20年度においてはまず2004年-07年における同国のインフルエンザ関連超過死亡を総死亡数からSerflingモデルを利用して算出したが明らかな超過死亡を認めなかった。超過死亡が認められないあるいは小規模になる理由はいくつか考えられるがシーズン毎の流行株(亜型)は異なること、インフルエンザ様疾患は観察期間に明確な季節性をもって流行していること、年齢階層別の死亡率を観察すると経時的に乳児死亡数が減少しているが、高齢者死亡数が増加傾向にあることから人口構成の変化がその一因と考えられた。そのために日本の年齢人口比とモンゴル国における死亡率から仮想集団を作成して超過死亡数を検討したところ超過死亡の集積として認められたために、人口構成の変化の影響を示すことが出来た。本研究によりモンゴル国におけるインフルエンザの疾病負荷については超過死亡あるいは死亡数などの評価指標を利用すると過小評価される可能性が大きいことが示され、他の指標(罹患率あるいは入院数など)による検討が必要であることが示唆された。
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