2010 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル国におけるインフルエンザの疾病負荷に関する研究
Project/Area Number |
20603001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神垣 太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80451524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押谷 仁 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80419994)
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Keywords | 感染症 / 公衆衛生 / ウイルス |
Research Abstract |
急性呼吸器感染症はモンゴル国において死亡原因の上位に位置するが、その中の1つと考えられるインフルエンザに関連した疾病負荷についてはよくわかっていない。我々は平成20年度において超過死亡率を算出する方法で検討を行い、2004-07年において明らかな超過死亡を認めなかったことを明らかにした。そのために2008/09シーズンよりウランバートル郊外および北部にある地方都市の2カ所でインフルエンザ患者サーベイランスおよび重症急性肺炎による入院者サーペイランス研究を実施した。今年度はパンデミック(H1N1)2009の流行した2009/10シーズンを中心に解析を行った。パンデミック(H1N1)2009流行時には、前年と比較すると約5-6倍のインフルエンザ様疾患の報告例1の増加がみられた。しかしウランバートルの郊外では、全年齢層において報告例の増加を認めている一方で、北部の地方都市では、45歳以上あるいは65歳以上の年齢層で大きな増加を認めなかった。また重症急性肺炎による入院1例をみても同年齢群の入院例は認められなかった。この点からモンゴル国においてはパンデミック時も観察地域においては小児における罹患が流行の中心であり、それに伴う入院率および罹患率の増加が見られるものの、死亡数の増加にはつながらないこと、地域によりその流行像にばらつきがあるが明らかとなった。本研究をとおしてモンゴル国におけるインフルエンザの流行像に関する知見を得ることが出来たとともに、死亡数だけを利用した疾病負荷の評価では過小評価になる可能性があることが示唆された。
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Research Products
(2 results)