2008 Fiscal Year Annual Research Report
ボホール島(フィリピン)における狂犬病コントロール
Project/Area Number |
20603002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 麻理子 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (80404234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押谷 仁 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80419994)
鈴木 陽 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20443989)
神垣 太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80451524)
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Keywords | 感染症対策 / 狂犬病 / ウイルス / 分子疫学 |
Research Abstract |
平成20年度は共同研究機関であるResearch Institution for Tropical Medicine (RITM)に保存してある過去のイヌサーベイランスの検体、および本研究のため新たにフィリピン全土から収集された検体を利用した狂犬病ウイルスの遺伝子解析、およびフィールドにおいてヒトおよびイヌの狂犬病に関する分子疫学研究を中心に進めた。 狂犬病ウイルスの遺伝子解析として、フィリピンの13の州のうち4つの州立動物衛生研究所と協力し、これらの検査室に集められた狂犬病イヌ検体を良好な状態でRITMに輸送し、遺伝子解析をおこなうシステムを立ち上げることができた。このシステムは、今後もフィリピンにおける狂犬病サーベイランスシステムを強化するのみならず、州立動物衛生研究所の狂犬病診断能力をRITMにて監視しうるものである。 これまでのところRITMに保存されていた検体および実際に4州から集められた検体を合わせ、およそ150検体について狂犬病ウイルスG遺伝子の865bpを用いて遺伝系統樹を作成した。ミンダナオ、ルソン、セブといった地理的に離れたところから採取された検体中のウイルスは異なる遺伝子グループを形成すること、さらにルソン島においても地域ごとに比較的ウイルス遺伝子が保たれていることが判明した。 またフィールドにおいて収集したデータより、イヌにおける狂犬病罹患率をヒト狂犬病および動物咬症のデータから推定する研究を2か所で実施した。その結果、実際のイヌ狂犬病罹患率はサーベイランスで報告されているデータより平均51.2倍も高いことが明らかになった。
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