2010 Fiscal Year Annual Research Report
ボホール島(フィリピン)における狂犬病コントロール
Project/Area Number |
20603002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 麻理子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80404234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押谷 仁 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80419994)
鈴木 陽 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20443989)
神垣 太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80451524)
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Keywords | 感染症対策 / 狂犬病 / ウイルス / 分子疫学 |
Research Abstract |
(A)狂犬病モニタリングシステムの構築:平成22年度は前年度から引き続き、同研究機関であるResearch Institution for Tropical Medicine(RITM)を拠点として、フィリピン全土からイヌの脳サンプルの収集を進めた。収集にはプロジェクト初年度に立ち上げた、サーベイランスシステムが有効に活用できた。 ウイルスの分子疫学的検討:昨年度まで7つの州と協力していたが、拡大して10の州の州立動物衛生研究所からの協力を得、合計約350検体を収集した。 (B)収集したすべての検体についてFAT(蛍光抗体テスト)による実験室診断を行い、陽性検体においてはRT-PCRおよびシーケンサーにてG遺伝子、N遺伝子の解析を行った。G遺伝子は表面蛋白質で最も変化しやすい部位である一方、N遺伝子は核蛋白質であり、もっとも保存性の高い領域である。今回、両遺伝子において、ルソン島、ピサヤ諸島、ミンダナオ島は異なる遺伝クラスターに属すること、同じ島内であっても地域ごとの相同性があることを認めた。またフィリピン国内の株はアミノ酸相同性が極めて高く(99.7%)、塩基配列の解析により中国から持ち込まれた可能性が高いことが示された。これらより、1)狂犬病ウイルスがフィリピンに持ち込まれてから島を越えたウイルスの移動はほとんどないこと2)地理的に隔離された場所(山に囲まれた場所など)ではウイルス遺伝子が保持される傾向にあること、3)地域ごとの狂犬病対策が有効であることが示唆された。
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