2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本とオーストラリアにおける子育て期の仕事と生活の再構築に関する比較研究
Project/Area Number |
20604008
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中里 英樹 Konan University, 文学部, 教授 (10309031)
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Keywords | ワーク・ライフ・バランス / 仕事と生活 / オーストラリア / パネル調査 / 子育て / 労働時間 / 出生率 / ジェンダー |
Research Abstract |
「子育て期の男女の仕事(市場的活動)と生活(非市場的活動)のあり方とそこに現れる問題の検証を通して、仕事と生活をめぐる社会的な秩序の新たな方向を探る」という研究目的に照らして、本年度は次のような研究を実施した。 (1)仕事と生活の関連に関する研究のレビューを行ない、「男女共同参画政策とワークライフバランス」(『論点ハンドブック家族社会学』所収)にまとめた。その際、質的分析ソフトウェアNvivoを用いることにより、仕事と生活に関する論点の体系的な抽出が可能になった。 (2)オーストラリアの公共利用パネル調査(Household, Income and Labour Dynamics in Australia)のデータを用いて、仕事と生活のありかたへの社会的関心と結びつけられることの多い出生行動への、夫婦の就業および家事・育児の状況の影響に関する分析を行い、その中間的成果を日本およびオーストラリアにおける学会やセミナーにおいて報告し、より有効な分析に向けての助言を得た。 (3)オーストラリアの男性育児休業取得者に予備的インタビューを行ない、男性の子育てをめぐる環境の一例を生活の総体の中で捉えることができた。 (4)労働時間と生活時間に関する社会的条件の一側面として、アデレードおよびシドニーにおいて、曜日・時間ごとの小売店の営業状況や消費者の動きについて観察を行なった。 以上のように、現地におけるフィールドワークと統計分析を併用することで、次年度以降の本調査を効果的なものにするための基本的な視角を得ることができた。
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