2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本とオーストラリアにおける子育て期の仕事と生活の再構築に関する比較研究
Project/Area Number |
20604008
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中里 英樹 Konan University, 文学部, 教授 (10309031)
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Keywords | ワーク・ライフ・バランス / 仕事と生活 / オーストラリア / 父親 / 子育て / 労働時間 / 出生率 / ジェンダー |
Research Abstract |
「子育て期の男女の仕事(市場的活動)と生活(非市場的活動)のあり方とそこに現れる問題の検証を通して、仕事と生活をめぐる社会的な秩序の新たな方向を探る」という研究目的に照らして、本年度実施した主な研究活動は次のようなものである。 1.オーストラリアの公共利用パネル調査(Household,Income and Labour Dynamics in Australia)のデータを用いて、仕事と生活のありかたへの社会的関心と結びつけられることの多い出生行動への、夫婦の就業および家事・育児の状況の影響に関する分析を行い、妻自身の就業時間や(妻がフルタイム就労の場合に)夫の子育て時間が第2子出生タイミングに影響をおよぼすという知見を得た。成果をオーストラリアにおける学会において報告し、政府機関(FaHCSIA)の研究ニュースレターにもその知見が取り上げられた。 2.母親のインタビュー結果の分析から、育児不安に差をもたらす要因としての、夫の子育てへの働き方と子育てへの関わり方、およびサポートネットワークのあり方を示し、さらにその状況の地域差を統計データによって示した。 3.アデレードにおける父親・母親への子育て支援提供の拠点を訪問し、異なる行政組織間のサービス窓口を統合する先進的な取り組み、および継続的な父親の子育て参加支援の仕組みについて情報を得ると同時に、次年度以降の継続的調査のためのコネクションを作ることができた。 4.家族との関わり方と転職の決断について子育て期の父親へのインタビューを行い、それを可能にする経済的な補助制度の利用の実態についての情報を得た。
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