2008 Fiscal Year Annual Research Report
水圏環境評価研究の博物館学的展開による新生涯学習システムの開発
Project/Area Number |
20605008
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
朝日田 卓 Kitasato University, 海洋生命科学部, 准教授 (00296427)
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Keywords | 博物館学 / 水圏生態系 / 環境評価 / 特別企画展 / 生涯学習 / 物質循環 / 安定同位体 / 砂浜海岸 |
Research Abstract |
今年度(初年度)は、プログラムのモデルとする水圏環境評価研究を中心に研究を行った。調査は、岩手県大船渡市を流れる盛川水系で従来から行っている水生生物を指標とした環境評価に、物質循環や食物連鎖系の解明のための安定同位体比分析を加えた調査や、波打ちぎわやアマモ場での仔稚魚調査、砂浜での昆虫調査など多岐にわたった。その結果、盛川ではダムによる環境改変が進んでおり、食物連鎖系もダム上流と下流では異なっていることなどが明らかとなった。また、波打ちぎわとアマモ場の両方を同じ種の仔稚魚が目的に応じて利用していることや、絶滅が心配されているハマベゾウムシ類の生息が広田湾で初めて確認されるなど新知見を多く得た。これらによって、基礎的なものから最先端の分析手法までを組み込んだ調査がプログラムのモデルとなり得ることが示された。 新生涯学習システムの開発に係るネットワーク構築は、本学と総合博物館である大船渡市立博物館および陸前高田市立博物館、自然史博物館である陸前高田市海と貝のミュージアムとの間で進んでいる。また、試験的な参加校に対し研究の説明を行い、内容を理解していただいた。モデルプログラムの構築に当たっては、小中高校のカリキュラムを考慮する必要がある。そこで、まず小中学校の教科書を購入し、プログラムに反映可能な単元の精査を開始した。単元の精査は各博物館においても行い、それぞれが得意とする分野をプログラムに盛り込めるよう合致点の検索等の分析を進めた。最終年度に目標としている特別企画展の予行を兼ねて、本年度は本学と海と貝のミュージアムの特別共同企画展「奇跡の海三陸〜その豊かさの秘密に迫る~」を開催した。これは、水圏環境評価研究の成果をベースとしたもので、学習にも利用できるように編集した展示図録も発行した。
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Research Products
(4 results)