2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい時代の博物館像と理工系博物館学の学芸員教育の在り方-工学系の視点から
Project/Area Number |
20605009
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊東 孝 Nihon University, 理工学部, 教授 (30287578)
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Keywords | 大学博物館 / 理工系博物館 / 工学系博物館 / 学芸員教育 / フィールドミュージアム / 近代化遺産 / 見立て博物館 / 旧八百津発電所資料館 |
Research Abstract |
1.工学系博物館"見立て博物館"としての工場見学 ANA機体整備工場見学を事例として、日本大学理工学部学芸員課程の「博物館実習I」受講生による評価レポート分析を行い、以下を明らかにした。魅力:(1)「飛行機」「格納庫」「飛行場」などの実物。(2)その場限りの二度と見られない光景。提案:(1)旧全日空歴史展示室の保管資料を活用した社史等の調査研究。(2)専門家予備軍の学習意欲を満足するようなDB、配布資料、HPなど選択的な情報媒体の工夫。 2.フィールドミュージアム (1)旧八百津放水可発電所建屋(1917年)に関する技術史的考察:旧八百津発電所資料館の一施設として展示利用されている放水口発電所建屋について、以下を明らかにした。(1)わが国初の放水口発電所建屋。(2)初期のRC導入建屋。(3)後に大井ダムで大規模機械化施工を成功させる石川栄次郎が機械練りを実地経験した最初の事例。(4)当時の代表的なRC専門家である茂庭忠次郎が指導。 (2)近代化遺産 大井ダム(1924年)における「第一次発電水力調査」の意義に関する考察:大井ダムを対象に事業プロセス分析を行い、わが国最初の発電水力調査である「第一次発電水力調査」の新たな歴史的意義を検討し、遺産の新たな歴史的価値を明らかにした。 3.大学博物館と学芸員教育 (1)大学博物館の運営実態に関する基礎的研究:工学系学術資料を専門に扱う大学博物館11館を対象に、概要分析を行った。東海大学海洋科学博物館では13名の常勤学芸員を設置、熊本大学工学部研究資料館では、重文指定を受けた建物・機械等を動態保存していることなどを抽出した。 (2)井上孝関係資料分析と大学博物館の意義に関する考察:旧日本大学国土総合開発研究所研究員を一時期兼任していた井上孝(元建設省事務次官・元参議院議員・元国土庁長官)の関係資料分析を通じて、大学博物館における大学史研究の意義を考察した。
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Research Products
(12 results)