2010 Fiscal Year Annual Research Report
博物館における縄文食プログラム策定の基礎資料収集及び新分析手法開発
Project/Area Number |
20605020
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Research Institution | Niigata Prefectural Museum of History |
Principal Investigator |
宮尾 亨 新潟県立歴史博物館, 学芸課, 研究員 (90245655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 泰民 新潟県立歴史博物館, 学芸課, 研究員 (80172667)
浅井 勝利 新潟県立歴史博物館, 学芸課, 研究員 (90373472)
山本 哲也 新潟県立歴史博物館, 交流普及課, 研究員 (10276438)
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Keywords | 縄文食 / 煮炊 / 土器 / 実験 / ELISA法 |
Research Abstract |
平成21年度の海外研究状況の視察とディスカッションを経て、土器胎土内にしみこんだ脂質を抽出し、その由来を推定する予備的分析をヨーク大学クレッグ博士と共同で実施した。また模造土器による煮炊き実験を行い、現生動植物を煮沸して付着するオコゲ中の窒素同位体比を測定し、炭化物と調理前の調理素材との安定同位体比の変化データを蓄積した。結果的に出土縄文土器に類似したオコゲを形成する煮沸方法の復元に至っていないが、調理素材の推定に土器付着炭化物が有効である点を明らかにした。加えて、その分析対象となる長岡市山下遺跡の発掘調査出土遺物について、今後の試料採取に備えた記録作成に努めた。その情報については、逐次公開する方法を合わせて検討した。以上のように縄文食プログラム策定の基礎資料として、分析試料採取に適した発掘調査資料の管理を博物館で行うとともに、土器胎土脂質分析の可能性を試行した。なお、土器胎土中及び遺物包含土壌を試料としたELISA法によるアミノ酸検出及び構成タンパク質の復元に関して、現状では調理素材や調理方法の推定にうまく適合していない。博物館等収蔵資料を活用した分析では、ケーススタディーとして土器の容量と土器付着炭化物の部位の検討を行った。あわせて縄文土器の文様や突起について、それらが破損した部位に付着炭化物の認められる事実から、煮炊きにおいて意識されていない可能性を推定した。その一方で文様や突起の製作工程を検討し、文様や突起が土器の製作の過程にこそ意義のあるものと評価した。以上の研究実績は研究成果報告書にまとめ刊行した。なお同書のPDFファイルはwebページ上に公開し、ダウンロード可能にしてある。
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