2008 Fiscal Year Annual Research Report
堆積物のキノン分析による過去の微生物群集変動の復元
Project/Area Number |
20606001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
沢田 健 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 講師 (20333594)
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Keywords | イソプレノイドキノン / 微生物群集 / バイオマーカー / 海洋古生態 / バクテリア / 古環境変動 / ジオポリマー / エーテル切断法 |
Research Abstract |
地質時代に埋積した堆積物中に含まれるイソプレノイドキノン(略してキノン)に着目し, キノン組成分析から過去の海洋および陸上土壌における全微生物の群集組成およびバイオマス, それらの年代変動を復元することを目的として, その分析法の開発と検討を行った。本研究は, 微生物が駆動する長時間スケールの物質循環システムを解明するための情報を得ることにも踏み込む。検討された方法を, 実際の連続的に得られた堆積層に対して応用し, 年代変動を復元する段階まで進めることが目標である。平成20年度の研究成果は以下のとおりである。 1. 東北日本の新第三系の沖合堆積物層の珪質頁岩と中部日本の新第三系の沿岸堆積層の泥岩を使用して, 堆積性高分子有機物(ジオポリマー)から結合態キノンを取り出す分析方法の開発・検討した。おもに化学分解法を用いた結合態キノン分析法の検討を進め, 3弗化ホウ素(BF3)/ジエチルエーテル錯体を用いたエーテル切断法を実用・レベルまで改善した。分解成分として得られたキノンの同定・定量には, すでに当研究室内に設置されているガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を使用した。その結果, 数種類のキノンの派生物が検出され, 数100万年前の堆積物にもキノンが残存することを確認した。 2. 中部日本の新第三系の沿岸堆積層について, キノン組成の年代変化を求める分析を行なった。その結果, ある限られた層準で, 真核生物の葉緑体やシアノバクテリアがもつフィロキノンの派生物が比較的高濃度に検出されることがわかった。それが検出される地層の堆積環境などから判断し, フィロキノン濃度はシアノバクテリアの生産性(バイオマス)の指標になりうると提示した。 3. 平成21年3月(〜5月)から統合深海掘削計画(10DP)の赤道太平洋航海(Exp. 320)に参加し, 深海掘削堆積物コアを採集する。このコアもキノン分析に用いる予定である。
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Research Products
(21 results)