Research Abstract |
南インドケララ州において地質調査を行い,地殻下部で900℃以上の高温にさらされた,超高温変成岩試料を採取した。約70試料を採取し,岩石薄片を作成し顕微鏡観察を行った。顕微鏡観察により,採取した岩石試料中の,石英,ざくろ石,および他の有色鉱物中には,流体包有物が豊富に含まれていることが明らかになった。また,本来は白色である斜長石が,グラニュライト相では暗褐色を呈するようになるが,このような部分では,流体包有物の含有量が多い傾向が明らかになった。微量同位体測定装置を整備し,鉱物中に含まれるCO2流体包有物の炭素同位体測定を可能とした。これにより,これまでは全岩の平均として測定されていた同位体組成を,鉱物粒子単位で測定することが可能になった。 超高温~高温変成岩中に含まれるCO_2流体の起源を,過去の研究のコンパイルから議論し,そのCO_2が地表に放出された際に,表層環境に与える影響をモデル計算により見積った。予察的な計算であるが,原生代の太陽光度,海水組成,大陸量,および大気中のCO_2濃度を考慮すると,下部地殻の変成作用にともなうCO2流体が地表に放出されると,地表気温を数℃~10数℃上昇させる可能性がある。その結果には,主にCO_2の起源に関する過程が大きく影響しており,来年度以降の研究で,CO_2の起源が実証的に明らかにされることが期待される。
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