2008 Fiscal Year Annual Research Report
キャップカーボネートの堆積速度と全球凍結直後の環境変動
Project/Area Number |
20606003
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Research Institution | Nagoya University of Arts |
Principal Investigator |
東條 文治 Nagoya University of Arts, 人間発達学部, 講師 (50422704)
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Keywords | 気候変動 / 地質学 |
Research Abstract |
平成20年度は、本研究で使用する分析試料の採取、地質学的・堆積学的調査をナミビアで行った。ナミビア北部には全球凍結が起こったとされる原生代後期の氷河堆積物の地層が広く分布している。さらにこの氷河堆積物の上位には炭酸塩岩が厚く堆積している。ナミビア北部コワリブ川周辺で、ドロマイト主体の炭酸塩岩・カルサイト主体の炭酸塩岩・粘土鉱物層のサイクルが観察できるラストフ層(キャップカーボネート)について詳細な地質学的な調査と試料採取を行った。特に本研究で重要となる周期的に挟まれる粘土鉱物層については、この炭酸塩岩の周期的な組成変化と当時の海洋環境あるいは全球凍結ともいわれる氷河時代の影響を読み解く上で重要な物証であると考えられる。この粘土鉱物層の産状・分布を中心に地質学的・堆積学的調査を行い、10数回あるサイクルについて本研究で必要となる分析試料を十分な量採取することができた。首都から遠い場所でキャンプを長期間行い、岩石試料の採取にはエンジン付のロードカッターを使用するなど困難も多かったが、200kg近い岩石試料をナミビア首都まで運ぶことができた。採取した試料についてはナミビア地質調査所において日本へ輸送及び研究の許可の手続きを取り、日本へ輸送を行った。現在京都大学総合博物館において採取地点のデータとともに整理保管している。平成20年度は計画においてもともと地質調査および試料採取の年であり、分析及び研究成果の発表は予定されていなかった。平成21、22年度において平成20年度に採取したこれらの試料の組成・組織を中心に分析を行い、重金属データなどと元素組成の周期的な変動の分析を総合し、堆積速度の復元や海洋環境の変動、CCD仮説の検証など、全球凍結仮説に関わるさまざまな理解を目指す.
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