2009 Fiscal Year Annual Research Report
キャップカーボネートの堆積速度と全球凍結直後の環境変動
Project/Area Number |
20606003
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Research Institution | Nagoya University of Arts |
Principal Investigator |
東條 文治 Nagoya University of Arts, 人間発達学部, 講師 (50422704)
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Keywords | 気候変動 / 地質学 / 全球凍結 / 原生代後期 / キャップカーボネート |
Research Abstract |
2008年度採取した岩石試料について、基礎的な記載及び重金属元素の定量分析を2009年度も引き続き行った。まず基礎的な記載として岩相や堆積サイクルに対応して薄片を作成し、構成鉱物の粒子の形状や二次的な変質等の検討を行い、特に周期的に炭酸塩岩に挟まれる粘土鉱物層についても薄片観察を行った。岩石試料の重金属元素の定量分析については、炭酸塩岩の岩相変化のサイクルと対応するように試料を選び、試料を粉末に加工した。研究目的の主となる堆積速度の見積もりについてはイリジウムの定量分析が重要で、この値の変化に基づいて検討することができるのであるが、測定試料の点数が多いこともあり測定を依頼している研究所での測定データがまだ出揃っていない。このデータの測定結果を待って論文を仕上げたい。また、2009年度に購入した数値計算ソフト(MATLAB)を使用して、過去の研究で得られている炭素・酸素同位体比、蛍光X線分析装置によってカルシウム、マグネシウム、珪素、マンガン、鉄、ストロンチウムなどの元素のデータを再整理し、試料が抜けていた区間について、2008年度採取した試料からのデータを追加してこれらのデータをまとめた。これらもイリジウムの測定データによって堆積速度の見積もりの結果を待って、対比や堆積モデルを発表したい。2009年度については近年の全球凍結仮説に関する研究をまとめるとともに、現在得られている分析データの範囲内で、炭酸塩岩の溶解やCCDの浅海化を含む堆積モデルとの検討を行った。検討の内容については著書「最新地球史がよくわかる本」の全球凍結に関する部分で、現在の研究で明らかになっていることとして反映されている。
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