2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本のイノベーションシステムと研究開発・知的財産活動:ミクロデータに基づく実証
Project/Area Number |
20607004
|
Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
伊地知 寛博 Seijo University, 社会イノベーション学部, 教授 (40344072)
|
Keywords | イノベーションシステム / 研究開発 / 知的財産 / 統計 |
Research Abstract |
本研究の全体構想では,研究開発活動や特許等の知的財産に係る活動をそれぞれイノベーションの固有の機能として捉えることで,知識創造・能力構築から価値創出までを包含するイノベーション・システムに関して,企業レベルでのデータに基づいて実証分析を通じて明らかにしていくことをめざしている. 本年度は,研究開発や知的財産活動に関する分析の前提として,利用可能な既存の研究開発・知的財産統計の制約条件を把握し,あわせて,それらの統計の現代化という観点を立てて国際動向および日本における展開と課題について検討した.調査方法論に関しては,統計調査間による母集団の範囲や標本抽出状況の相違を挙げた.統計調査ごとに統計実施の目的が異なることから,対象とする経済活動(産業)の範囲や企業規模の範囲が異なり,そのため,複数の統計調査からのミクロデータを接合して得られるデータ・セットは,これらの統計調査の,いわば“積集合"に当たる範囲しか代表し得ていないことから,これを基盤とする分析では,対象の“全体"がその範囲に制約されることに十分注意を払う必要があることを示した.また,調査項目に関しては,たとえ類似の定義に基づく変数であっても統計調査間では同一の企業が必ずしも相応した回答をしていない場合もあり,この点での限界を確認した.以上を踏まえ,複数の統計調査からのミクロデータを接合させて得られるデータ・セットを活用すると,分析することのできる内容の範囲を大きく広げることができる一方で,分析に用いられる客体が制約されることから,その分析が表す“全体"についての適切な理解と,分析結果の慎重な解釈や利用が重要であることを示した.
|
Research Products
(2 results)