2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本のイノベーションシステムと研究開発・知的財産活動:ミクロデータに基づく実証
Project/Area Number |
20607004
|
Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
伊地知 寛博 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (40344072)
|
Keywords | イノベーションシステム / 研究開発 / 知的財産 / 統計 |
Research Abstract |
本研究の全体構想では,研究開発活動や特許等の知的財産に係る活動をそれぞれイノベーションの固有の機能として捉えることで,知識創造・能力構築から価値創出までを包含するイノベーション・システムに関して,企業レベルでのデータに基づいて実証分析を通じて明らかにしていくことをめざしている. イノベーションの展開と政策の推進に合わせて,その状況について適切かつ的確に測定・把握することが重要になってきているものの,"イノベーション"の測定上の定義やその概念に対する理解があまり共有されておらず課題となっている.そこで,この領域での議論や分析の展開に資することもねらいとして,本年度は,イノベーションについてミクロ・レベルでの測定法の枠組みに関する整理を行った上で,その枠組みと定義に関する一つの新たな提案を行った.具体的には,“innovate”という行為について主体と客体とが存在することを明確にした上で,innovateの要件として(広義の)消費者にとっての価値の創出を掲げ,消費とinnovateとに共通する客体の媒介として(広義の)市場を設定し,この消費という行為を通じて消費者にとって経済的・社会的価値が創出されるという枠組みを設定した.このことにより,innovateという行為は,「消費者にとって(消費をするということを通じて)価値が創出されるということを目的として,新しいまたはかなり改善されたプロダクト(商品またはサービス)を市場に導入する,あるいは,新しいまたはかなり改善されたプロセス,新しいマーケティング方法事業慣行職場の組織または対外関係における新しい組織的な方法を実施する」として定義することができる.さらに,このような枠組みにより,イノベーションのアウトカム,アウトプット,インカム,インプットということもより明示的に測定することも可能にするという特徴を有する.
|
Research Products
(2 results)