2010 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリオクロムの縦断・横断的解析によるフィトクロム型光受容機構の解明
Project/Area Number |
20608001
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成川 礼 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (30456181)
|
Keywords | シアノバクテリア / フィトクロム / 光受容体 / AnPixJ / 結晶構造 / 分光解析 / シアノバクテリオクロム / 走光性 |
Research Abstract |
AnPixJの縦断的解析 AnPixJの色素結合GAFドメインのアポタンパク質を精製し、フィコシアニン色素と再構成することにより、タンパク質と色素とのフォールディング過程を解析した。その結果、再構成直後に、AnPixJのPr型よりも長波長のピークを持つ中間体が観察され、その後速やかにPr型が形成された。また、安定同位体ラベルされた色素と再構成したホロタンパク質のFTIR解析を行い、Pg型からPr型への光変換過程で、アミノ酸のカルボン酸のプロトン脱離反応が起こっていることが示唆された。Pr型の結晶構造と考え合わせると、Pr型において、アスパラギン酸のカルボン酸のプロトンが色素に付加していたものが、Pg型において脱離していることを反映ししていると示唆された。さらに、中間体のFTIR解析も行っており、AnPixJの光変換過程を詳細に解析できている。 他のシアノバクテリオクロムGAFドメインの横断的解析 好熱性シアノバクテリアに存在する新規シアノバクテリオクロムTlr1999について分光特性を解析したところ、青/緑色光変換型であったが、通常の緑色光吸収型よりも短波長シフトしていた。さらに、青/緑色光変換型GAFドメインにおいては、高度に保存された第二のCys残基が過渡的に色素に共有結合することで青色光吸収型ができると考えられている。Tlr1999においてJAAというCysをブロックする試薬を加えることで、確かに青色光吸収型ができず、その代わりに長波長吸収型が生成されたことから、やはり第二のCys残基が過渡的に共有結合することで短波長吸収のあ青色光吸収型が形成されることが強く示唆された。 以上の解析から、シアノバクテリオクロムの光受容機構について、システインの色素への脱着やプロトンの色素への脱着が重要な役割を果たしていることが示唆された。
|