2010 Fiscal Year Annual Research Report
表在性蛋白質に着目した光合成光化学系2超分子複合体のアセンブリーに関する研究
Project/Area Number |
20608002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水澤 直樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (80342856)
|
Keywords | 植物生理 / シアノバクテリア / 光合成 / 光化学系II / 表在性タンパク / 超分子複合体 |
Research Abstract |
本研究では、シアノバクテリアSynechocystis sp.PCC6803を用いて光化学系II(PSII)のアセンブリーに重要な役割をもつと予想される表在性タンパク質をコードする遺伝子破壊株やタンパク質へHis-タグを付与した変異株を作製し、各変異株の光合成特性の解析を行ってきている。これらのうち、本年度は表在性タンパク質Psb28(Δpsb28株)の遺伝子破壊株を用いた解析で興味深いことがわかってきたので、特に本株の解析に焦点を絞った。具体的な内容は以下の通りである。 前年度までに、表在性タンパク質Psb28の遺伝子破壊株(Δpsb28株)の解析では、Δpsb28株はプレート培養において通常条件(30℃)では野生株と同様に増殖するが、高温、強光に曝されたときに増殖が抑えられること、さらにΔpsb28株は活性型PS IIである2量体量が減少し、PS IIのアセンブリー中間体、もしくは解体中間体が特異的に蓄積することを見出している。本年度は、まず液体培養条件で野生株と変異株の増殖の差が出る条件を探したところ、40℃、強光(200μmol photons^<-1>・h^<-1>)条件で野生株に比べ、増殖遅延を示すことがわかった。さらにこの増殖遅延が観察された条件での細胞の光合成活性の解析をおこなったところ、野生株に比べΔpsb28株は強光下で光合成活性が低下しやすいこと、その活性低下の原因は損傷を受けたPSIIを修復する機能が低下しているためであることがわかった。以上の結果、Psb28は通常の温度条件では必須ではないものの、高温条件下でのPSIIの修復・アセンブリーに重要な機能を果たしていることが明らかになった。
|