2009 Fiscal Year Annual Research Report
視覚中枢原基の神経上皮幹細胞は間期に神経前駆細胞に転換する
Project/Area Number |
20610005
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
中尾 啓子 Saitama Medical University, 医学部, 講師 (70338185)
|
Keywords | 神経上皮幹細胞 / 神経前駆細胞 / Drosahila / Notch signaling / 細胞接着装置 / 細胞周期 / 増殖 / 分化 |
Research Abstract |
これまで我々は、哺乳類神経上皮幹細胞から前駆細胞へと分化する際の分子制御機構を明らかにするモデル系として、ショウジョウバエの視覚中枢原基に存在する神経上皮幹細胞を選び、それらが細胞周期特異的-神経上皮幹細胞において特異的に延長しているG1期に-神経前駆細胞に転換することを明らかにしてきた。そこでこの転換機構を制御している分子メカニズムを明らかにするために、Notch signalingの関与について解析した。Notch signalingが神経上皮幹細胞と神経前駆細胞の増殖を促進し、かつ神経前駆細胞からニューロン・グリアへの分化を抑制することは、これまでの我々の研究で明らかにしているが、神経上皮幹細胞から神経前駆細胞への転換の分子機構に関しては、哺乳類を含めて何も明らかになっていない。実際ショウジョウバエ視覚中枢原基の神経上皮幹細胞においても、その神経前駆細胞への転換プロセス中の細胞は、GI期であるためBrdUを取り込まない上に、細胞接着装置の、細胞極性の再構築が起こるのだけが指標でbHLH型転写因子のAsenseが転換後半に徐々に発現してくること以外には適当な分子マーカーもなく解析が困難だった。本年度は、MARCMを用いてNotch mutantクローンを作成する際、神経上皮幹細胞の端から前駆細胞に転換すると言う解剖学的な特性を利用して転換直後のNotch mutantの神経上皮幹細胞にfocusしてその表現型を解析したところNotch signalingをダウンレギュレートすることが、precociousな神経前駆細胞への転換の初期過程を誘導することが明らかになった。この知見を今後はマウス網膜前駆細胞の分化機構の解析に応用する予定である。
|