2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍発生のリスクのない多能性幹細胞移植治療の開発の基礎的研究
Project/Area Number |
20610006
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
赤松 和土 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60338184)
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Keywords | 神経幹細胞 / ES細胞 / iPS細胞 / 神経分化 |
Research Abstract |
我々はH20-21年度に、マウスおよびヒト線維芽細胞にリプログラミング遺伝子導入を行い、ipsの樹立を経ることなく神経幹細胞を得る分化誘導系を確立した。H22年度はこのようなマウス皮膚繊維芽細胞から誘導された神経幹細胞の詳細な解析を行った。マウス皮膚繊維芽細胞から誘導された神経幹細胞はエピジェネティックな観点からも十分に成熟した神経幹細胞であることが証明され、従来2ヶ月かかっていた繊維芽細胞から神経幹細胞を得る工程を3週間程度に短縮することができた。これらの細胞の腫瘍化能に関しては、培養法を最適化することによって樹立されたips細胞から安全なクローンを選択した場合と同程度の残存未分化細胞を持つ神経幹細胞を作り出すことができた。この方法で得た神経幹細胞を免疫不全マウス脳へと移植を行い、奇形腫形成が殆ど見られないことを確認した。すなわち我々の方法では成熟した神経幹細胞を得るまでの培養期間が大きく短縮され、さらにクローン選択を行うことなしに安定して安全な細胞を得ることに成功した。この方法はたとえば亜急性期に細胞移植が有効である脊髄損傷など、再生医療の実現化において細胞移植の時期にタイムリミットを有する疾患に対する迅速な細胞誘導法として非常に有用であると考えられる。同時にヒト細胞でも検討を行い、安定してニューロンを生成する神経幹細胞の誘導を行うことに成功している。
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