2009 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞を用いた感覚プラコード形成の分子機構の解明
Project/Area Number |
20610007
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高崎 真美 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (80392009)
|
Keywords | 発生・分化 / 胚性幹細胞 / 再生医学 / 外胚葉 |
Research Abstract |
感覚プラコードは、非神経外胚葉組織から誘導されることが両生類の研究等から示唆されているが、哺乳類における分化機序は殆ど不明である。研究代表者は、哺乳類初期発生のin vitroモデル系としてマウス胚性幹細胞を用い、非神経外胚葉を効率良く分化誘導する条件を明らかにし、感覚プラコードの分化機序の解明に繋げるため本研究課題を進めてきた。初年度において、BMP4やDkk1等の分泌タンパク質がES細胞からのプラコードの分化に関与することを明らかにしたが、その分化効率は低かった。そこで平成21年度は、より効率の良い非神経外胚葉への分化条件を見いだすために、細胞外環境因子に着目して研究を進めた。 胚性幹細胞の分散浮遊培養(Watanabe et al., 2005; Eiraku et al., 2008)時にBMP4を添加すると、神経外胚葉への分化は抑制されたが、そのまま浮遊培養を続けても未分化な非神経外胚葉のままでやがて細胞死にいたった。そこで、細胞の生存や分化に関与すると考えられるラミニン、ファイブロネクチンといった細胞外マトリックス上に、分化途中のES細胞塊を移して長期に接着培養したところ、高い効率で表皮(CK14,CK15,△Np63ポジティブ)への分化誘導が確認された。これらの事実から、非神経外胚葉への分化にはBMP4シグナルだけでは不十分で、細胞の足場となり細胞増殖や細胞分化に影響を及ぼす、細胞外マトリックスとの相互作用が必要であることが示唆された。しかしながら、この培養条件だけでは非神経外胚葉からの感覚プラコードの分化誘導効率の向上はみられなかった。 今後は、細胞外マトリックス上で培養したES細胞塊の遺伝子発現の変化をマイクロアレイ等の網羅的解析により明らかにするとともに、感覚プラコードへの分化誘導を促す因子の同定を進めたい。
|