2008 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン因子による幹細胞の制御と安全高効率幹細胞化法への応用
Project/Area Number |
20610008
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
栗崎 晃 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 器官発生工学研究ラボ, 主任研究員 (60346616)
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Keywords | クロマチン / 幹細胞 / ES細胞 / 脱分化 / リン酸化 / 分化 |
Research Abstract |
本年度は、特にクロマチン因子TIF1βの未分化状態制御活性に焦点を当てて解析をすすめ、その特異性や作用機序の解明に取り組んだ。未分化状態のマウスES細胞で特異的に発現するTIF1βは分化に伴い発現量が減少するが、幹細胞特異的にC末のセリンがリン酸されており、このリン酸化は未分化状態の喪失に伴い消失することが明らかになった。また、TIF1βのリン酸化はES細胞が樹立される内部細胞塊においても特異的にリン酸化されていた。さらに、マウスES細胞でTIF1βをノックダウンするとLIF存在下でもES細胞特有のコロニーを形成できずに分化してしまい、未分化性を喪失することが確認された。即ち、TIF1βは幹細胞の多能性維持に必須の因子であることが示唆された。TIF1βはリン酸化依存的に幹細胞の自己複製・多能性維持促進活性を示し、Nanog,Sox2等の転写因子を発現誘導する一方で、cMyc等のガン関連遺伝子の発現は誘導しないことがリアルタイムPCRを用いた解析から示唆され、そのユニークな幹細胞制御能が示された。今後、論文として成果をまとめるため、リン酸化依存的にTIF1βに結合するタンパク質をディファレンシャルプロテオミクス解析により決定することにより、どのような作用機序でTIF1βが幹細胞制御を行っているのかの詳細を明らかにしていく予定である。また、リン酸化TIF1βが活性化クロマチンと共局在することから、TIF1βがlocas特異的にクロマチン活性化状態を制御している可能性についての検討していきたい。
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Research Products
(5 results)