2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20611002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐竹 真幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90261495)
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Keywords | 環状エーテル / 鈴木カップリング / 渦鞭毛藻 / ナトリウムチャネル |
Research Abstract |
環状エーテル化合物ブレビサミドの全合成に成功した。ブレビサミドは、赤潮渦鞭毛藻が生産する化合物であるが、200Lの培養藻体から0.2mgしか単離できない微量成分であるため、その毒性等に関する生物活性解明は困難であった。ブレビサミドの生物活性解明に向けた安定供給を目指して合成研究を行なった。ブレビサミドのこれまでに前例のないアミノエーテル構造は、6員環ラクトンからカップリング反応と転位反応を用いたアミノ基導入反応により合成した。アミノエーテル部とジエノール側鎖を鈴木一宮浦クロスカップリング反応により連結し、ブレビサミドの全合成を達成した。ブレビサミドのアミノエーテル構造を確認するために、アミドを先にエーテル環に導入したため、カップリング反応で収率の低下を招いたが、改良合成法により収率の大幅な向上を行い、試料供給を可能とした。 ナトリウムチャネルに結合する6環性ポリ環状エーテル化合物ブレビシンの構造解明を目指して合成研究を行なった。3個のエーテル環が梯子状に連結したABC環部は、オレフィンメタセシス反応によりA環を構築し、7員エーテル環との鈴木一宮浦クロスカップリング反応を用いた収束的合成法を開発した。米国ノースカロライナ大ウィルミントン校の研究者と共同研究を行い、天然のブレビシン、ブレビサミドを用いて新Mosher法により絶対配置を決定した。この結果、推定していた相対立体配置が正しいことを確認した。絶対立体配置の決定は、化合物の合成研究、作用解明研究において必須の知見であり、ブレビシンの合成研究や、ブレビシンとナトリウムチャネルとの相互作用の解明に有用である。
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Research Products
(10 results)