2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20611002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐竹 真幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90261495)
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Keywords | ポリ環状エーテル / 鈴木一宮浦クロスカップリング / 渦鞭毛藻 / ナトリウムチャネル / 脱保護反応 |
Research Abstract |
渦鞭毛藻が生産する単環性エーテル化合物ブレビサミドの効率的改良合成を達成した。合成した化合物を用いて、ブレビサミドの生物活性試験を行い、ブレビサミドがマウスに対する致死毒性を示さないが、マウスリンパ腫細胞に対して弱い毒性を示すことを明らかとした。ブレビサミドの構造活性相関解明を目指して、合成研究を行い、ヒドロキシ基の還元された類縁体合成に成功した。また、立体配置不明であった新規ポリ環状エーテル化合物ブレビシンのBC-DE環部のモデル合成を行い、ブレビシンの完全構造決定を行った。さらに、ブレビシンの全合成を行い、鈴木一宮浦クロスカップリング反応を鍵反応として用いて、全合成に成功した。3環性エーテルABC環部を、鈴木一宮浦クロスカップリング反応を用いて収束的に合成し、ABC環部とEF環部をアルドール縮合により連結後閉環し、6環性ポリ環状エーテル骨格を構築した。最後に、予め合成したジエノール側鎖とエーテル環構造を鈴木一宮浦クロスカップリング反応により連結し、ブレビシン全合成を達成した。 ブレビシンの全合成は、世界に先駆けて成功したものである。ブレビシンは、赤潮毒ブレベトキシンのナトリウムチャネルに対する結合を阻害することが明らかとなっている。今後、ナトリウムチャネルを介した神経伝達機構の解明やブレベトキシンによる赤潮の被害軽減に繋がる研究成果である。さらに、ブレビシン全合成の過程で、シリルエーテル系保護基の化学選択的脱保護反応を見出した。この反応は、有機合成における重要なステップであるヒドロキシ基の脱保護反応を効率化する重要な知見である。
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Research Products
(18 results)