2010 Fiscal Year Annual Research Report
アントシアニンの合成化学を基盤とした花色発現機構のケミカルバイオロジー
Project/Area Number |
20611004
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 久美 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90210690)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾山 公一 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 技術職員 (80402460)
|
Keywords | アントシアニン / フラベノール / 生合成経路 / 金属還元 / 空気酸化 / シスロイコシアニジン / カテキン / ルチン |
Research Abstract |
花色素アントシアニンは、高等植物の花、葉、果実などに分布し赤~紫~青色を呈す色素である。抗酸化性に基づく種々の生理機能を持ち、近年、安全かつ高機能性を持つ天然食品添加物として大きな需要を持つ。さらには近年色素増感太陽電池材料としても期待される。しかし、その供給のほとんどは天然の植物に依存している。従って、現在、柔軟かつ効率的なアントシアニンの化学合成法の確立が求められている。本年度の研究では、アントシアニンの酸化および還元反応における反応性について、種々溶媒、還元剤、酸化剤、およびラジカルスカベンジャーを共存させるなどの条件を変えて調べた。亜鉛末を用いた配糖化フラベノールの還元反応においては、メタノールを用いると反応が最も速やかで、エタノールを用いると溶解性の問題で反応が遅いことがわかった。また水中でも、非常に反応は遅くなるが進行することがわかった。還元反応の際に用いる酸は、塩化水素だけでなく、塩酸、硫酸でも反応は進んだが、トリフルオロ酢酸では反応は遅かった。酸の濃度は、ある程度高い必要があり、希薄な酸では進行が遅かった。一方、還元して得られたフラベノール体からアントシアニンへの酸化反応においては、塩化水素や硫酸、硫酸の他、トリフルオロ酢酸でも支障なく反応が進行して、アントシアニンへ変換されることがわかった。ラジカルスカベンジャーの有無は、酸化反応にほとんど影響を与えなかった。さらに、酸化反応の際には酸の濃度が高いと、副反応が起きて収率が低下することがわかった。
|
Research Products
(20 results)