2009 Fiscal Year Annual Research Report
共生微細藻類の生産する長鎖ポリオール化合物の共生現象における役割の解明
Project/Area Number |
20611006
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大野 修 Keio University, 理工学部, 助教 (20436992)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 共生 / ポリオール化合物 / 微細藻類 / 生物活性 / シンビオジノライド / シンビオスピロール |
Research Abstract |
沖縄県産のヒラムシより分離した渦鞭毛藻Symbiodinium sp.より昨年度単離した新規長鎖ポリオール化合物群シンビオスピロールA,B,CについてプロテインキナーゼCに対する阻害活性の評価を行い、シンビオスピロールA及びCに同等の活性が見出されたもののシンビオスピロールBは他の類縁体よりも活性が弱いことを見出した。この結果からシンビオスピロール類によるPKC阻害活性に必要な構造と部位を明らかにすることができ、今後のさらなる作用機構の解明に役立つ知見を得ることができた。さらに、昨年度作製したシンビオスピロールAのポリクローナル抗体を用い蛍光顕微鏡による渦鞭毛藻内での局在解析を行うための条件検討を行い、局在解析に蛍光抗体法を用いることが有効であることを見出した。生産生物内での長鎖ポリオール化合物の生合成部位、機能部位を明らかにするための新たな手法の確立につながる知見を得た。 また、同一渦鞭毛藻Symbiodinium sp.よりこれまでに得た長鎖ポリオール化合物シンビオジノライドについてモルモット回腸を用いた評価を行い、シンビオジノライドがN型カルシウムチャンネルを標的分子としてチャネル開口活性を示すことを解明した。本成果により誘導体の機能評価を行う上での新たな評価指標を得ることができた。 また、渦鞭毛藻から新規分子の探索を試み、渦鞭毛藻Amphidinium sp.より新たに単離したポリオール化合物シンビオポリオールの構造を決定し、本化合物が血管内皮細胞における細胞接着分子VCAM-1の発現阻害活性を示すことを見出した。他にも未同定種渦鞭毛藻よりヒドラジド構造を有する新規低分子化合物ディノヒドラジド類を単離した。これまでに渦鞭毛藻より得られた他の化合物に比べて分子量が小さく、本化合物が長鎖ポリオール化合物の断片を構成する化合物である可能性が示唆されたため、長鎖ポリオール分子の生合成経路及び機能の解明に役立つ新たな化合物を得ることができた。
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Research Products
(16 results)