2008 Fiscal Year Annual Research Report
高感受性線虫変異株を用いた高効率な生理活性物質探索システムの開発と応用
Project/Area Number |
20611017
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
井上 英史 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 教授 (20184765)
|
Keywords | 生理活性物質 / スクリーニング / 線虫 / C.elegans / 薬剤排出トランスポーター / 変異株 / 感受性 |
Research Abstract |
線虫C.elegansの薬剤排出トランスポーター(P糖タンパク)遺伝子群に変異をもつ株について,薬剤高感受性株をスクリーニングした.用いた変異株は次の10種である.NL130pgp-1(pk17);pgp-3(pk18),NL152pgp-1(pk17);pgp-3(pk18);mrp-1(pk89),VC134pgp-2(gk114),VC21pgp-4(gk16),RB959pgp-5(ok856),RB1047pgp-7&pgp-6(ok994),RB1045pgp-10(ok991),VC26pgp-12(gk19),RB894pgp-13(ok747),RB1041pgp-15(ok987).これらについて6種の薬剤の生理活性を野生株と比較し,いくつかの薬剤に対して比較的感受性の高かったNL130,NL152,VC26,RB894株について,さらに9種の薬剤を用いて検討した.その結果,三つの遺伝子に変異をもつNL152株は,いくつかの化合物に対して感受性が高く,用いた株の中では最も薬剤高感受性の線虫であった.この株は通常の培養条件でも異常を示す頻度が高いため生理活性物質のスクリーニングには注意が必要ではあるが,観察する表現型によっては野生型線虫を用いるよりも有効である. RB894株は神経系に作用する薬剤に対して感受性が野生株より高い傾向が見られた.液体培地中で,レバミゾールによる運動障害のEC50を求めたところ,野生株は55μM,RB894は35μMであった.t検定により有意差はあるものの,大きな差ではなかった.しかし,神経系に作用する薬剤を見出すには,野生型線虫を用いるよりRB894株を用いる方が有利とは言える.ただし,神経系に作用する薬剤であっても必ずしもRB894が高感受性であるとは限らず,さらに様々な薬剤で各株を比較をする必要がある.
|