2010 Fiscal Year Annual Research Report
高感受性線虫変異株を用いた高効率な生理活性物質探索システムの開発と応用
Project/Area Number |
20611017
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
井上 英史 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (20184765)
|
Keywords | 生理活性 / スクリーニング / 線虫 / C. elegans / 寿命 / Rasシグナル / 生薬 / 発生 |
Research Abstract |
線虫C. elegansを用いて,高効率に種々化合物の生理活性を見出すことを目的としている.新たなメカニズムの生理活性を見出すことは,生物学研究のためのツールを得ることであり,また医薬品開発のためのシードとなることが期待される. (1) 平成21年度までに,異常に活性が亢進したRasシグナルによる表現型を,生薬ゴシュユが抑制することを見出した,すなわちlet-60/Ras遺伝子の機能獲得変異体ではMuv表現型,すなわち陰門の過剰形成(偽陰門の形成)が観察されるが,この表現型をゴシュユが抑制した.ゴシュユの主成分として知られているエボジアミンとルテカルピンについて試験したところ,いずれにおいても同様の効果が見られた.Ras下流の転写因子lin-1やRasシグナル系以外の遺伝子の変異により生じるMuvに対しては抑制効果が見られなかった.エボジアミンとルテカルピンは構造的に類縁の化合物であるが,これらはRasあるいはその下流のMAPキナーゼ系,またはRasの活性化に必要なファルネシルトランスフェラーゼのいずれかを阻害すると考えられる. (2) カカオ由来プロシアニジン画分をC. elegansに投与して試験を行ったところ,熱ストレスや酸化ストレスに対する抵抗性を高め,また寿命を延ばす効果が見られた.また,老化の進行を遅らせる効果が見られた.プロシアニジン画分を1~3量体を主に含む低分子画分と4量体以上を含む高分子画分に分けて試験したところ,これらの活性は主に高分子画分に見られた.種々の変異体を用いて作用機構を検討したところ,インスリン様シグナル系は関与しておらず,CAMKIIあるいはp38MAPキナーゼ系との関連が示唆された.
|
Research Products
(4 results)