2009 Fiscal Year Annual Research Report
オーキシン受容体TIR1とABP1特異的プローブの開発とオーキシンシグナルの解析
Project/Area Number |
20611019
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
林 謙一郎 Okayama University of Science, 理学部, 准教授 (30289136)
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Keywords | オーキシン / 植物ホルモン / TIR1受容体 / 分子プローブ / ABP1 / F-boxタンパク / 阻害剤 |
Research Abstract |
オーキシンは、植物の分化、成長を調節する重要なホルモンである。オーキシンはTIR1受容体に認識され、TIR1受容体とAUX/IAAリプレッサーの相互作用を促進することで、AUX/IAAリプレッサーのユビキチン化とそれに続く、プロテアソーム系によるAUX/IAAリプレッサーの分解を介して、遺伝子発現の抑制を解除する。一方で、1980年代から知られているオーキシン結合蛋白であるABP1の機能と信号伝達系は、明らかとされていない。そこで、TIR1受容体特異的あるいはABP1タンパク特異的な分子プローブが開発できれば、それらプローブを利用して、それぞれの信号伝達機構や機能分担についての知見が得られると考えた。そこで、平成20年度から我々はTIR1受容体に特異的なアンチオーキシンプローブの分子設計と合成を行い、その開発に成功した。すなわち、TIR1受容体の結晶構造に基づいて、インシリコ・スクリーニングにおいて、同定された化合物のアンチオーキシン活性を最適化してきた。その結果、従来、我々が報告してきたアンチオーキシンによりも10倍以上の高活性を示す化合物が得られた。また、ABP1の結晶構造に基づいて、ABP1に特異的な分子プローブを分子設計した。その結果、いくつかの高いオーキシン活性を示す化合物が得られた。それらは、TIR受容体を介したオーキシン応答性遺伝子発現誘導活性を示さなかった。現在、これらの化合物の詳細な生理活性を検討している。
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