2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい細胞膜エストロゲン受容体の基盤的研究とその受容体作動薬の探索
Project/Area Number |
20611020
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
柳原 延章 産業医科大学, 医学部, 教授 (80140896)
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Keywords | カテコールアミン / 細胞膜エストロゲン受容体 / 植物性エストロゲン / 中国薬草 / ニコチン / ノビレチン / ノルエピネフリントランスポーター / 副腎髄質細胞 |
Research Abstract |
本研究は、新しい細胞膜エストロゲン受容体の基盤的研究を行い、同時にその受容体に作用する化合物のケミカルライブラリーの作成を試み、副作用の少ない新たな女性ホルモン代用治療薬を探索する。 以下に本年度の研究成果について要約する。 1、ウシ副腎髄質細胞膜のエストロゲン受容体の分子クローニングを行う為に、細胞を各種ホルモン刺激後、その細胞膜のエストロゲン受容体の変動を[^3H]17β-estradiolの特異的結合の変動で検討したが、残念ながら顕著な差を見出すことが出来なかった。一方、副腎髄質の細胞膜にあるエストロゲン受容体の薬理学的解析を行うために、従来知られている核内エストロゲン受容体(ER-α及びER-β)や細胞膜エストロゲン受容体GPR30の選択的アゴニストであるPPT, DNP, G-1を用いて検討した。これらの化合物は、[^3H]17β-estradiolの特異的結合に対して高濃度(≧100nM)においてその結合を阻害したが、各々のIC_<50>の濃度ではほとんど影響を与えなかった。この結果は、私達が見出している細胞膜エストロゲン受容体は、従来報告されている細胞膜エストロゲン受容体のどれにも属さない可能性が示唆された。 2、大豆の成分である植物性エストロゲンのゲニステインが、ノルエピネフリントランスポーター(NET)活性を増加させた。この結果は、ゲニステインによる交感神経系への抑制作用が示唆され、抗ストレス効果が期待された(発表論文1)。さらに、サルビア科植物のダンセンやZuojin Wan(中国薬草)や蜜柑果皮成分ノビレチン(発表論文2)についても同様にカテコールアミン生合成・分泌刺激反応に対して抑制作用があり、交感神経の抑制効果が期待された。さらに、タバコ葉の成分のニコチンを長期作用すると、NET活性の増加が観察された(発表論文3)。
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Research Products
(4 results)