2010 Fiscal Year Annual Research Report
2つの量子ビームを同時に利用した革新的な水素・水和構造情報獲得への挑戦
Project/Area Number |
20612003
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
日下 勝弘 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 准教授 (10414591)
|
Keywords | 同時構造解析 / 中性子構造解析 / X線構造解析 / 水素・水和構造 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度結晶化を行った標準試料(RNaseA)の単結晶を用いて、導入した中性子-X線同時構造解析ソフトウェアシステムを実際に適応する次世代パルス中性子源に設置された茨城県生命物質構造解析装置により、システム評価用の中性子回折データを測定した。また、X線回折データについても、同じ単結晶試料を用いて、放射光施設KEK,PFで解析可能なフルデータの測定を実施した。これらの2つの量子ビームを用いて測定した標準試料の高分解能・高精度回折データを用いて、革新的な水素・水和構造情報の獲得を目指して、一昨年から導入を進め、昨年度基礎的評価を行ったユーザーフレンドリーな中性子-X線同時構造解析ソフトウェアシステムによって、X線構造解析、中性子構造解析、X線-中性子同時構造解析を行い、それぞれの解析コンポーネントについて水素・水和構造の情報量・質および信頼性の評価を行った。X線回折データを用いた構造解析の結果から、既知の骨格構造と比較して、問題ない精度の構造が得られたことが分かった。また、中性子データのみを用いた構造解析についても既知構造と比較して、重水素および水素原子について高い信頼性の構造情報が得られた。同時構造解析については中性子データのみの構造情報と比較して、より信頼性の高い構造情報が得られたことが分かり、次世代パルス中性子特にJ-PARCの茨城県生命物質構造解析装置により得られた中性子構造解析の結果が有用な水素・水和構造情報を与えることが可能であることが示され、さらに放射光データ組み合わせた同時構造解析がより有用であることが実証された。
|