2009 Fiscal Year Annual Research Report
放射光マイクロビームを用いる重金属蓄積植物のインビボ蛍光X線イメージング
Project/Area Number |
20612008
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
保倉 明子 Tokyo Denki University, 工学部, 准教授 (20343569)
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Keywords | ファイトレメディエーション / 放射光 / X線マイクロビーム / 重金属蓄積植物 / カドミウム / 蛍光X線 / X線吸収微細構造解析 / タバコ |
Research Abstract |
タバコはCdに耐性を持つ植物であり、比較的高濃度のCdを蓄積する。体内に取り込まれたCdは、グルタチオン(γ-Glu-Cys-Gly)やファイトケラチン((γ-Glu-Cys)n-Gly)のような化合物のシステインと結合して無毒化されるといわれている。また同じタバコ(Nicotiana)属であるN.tabacumとN.rusticaは、Cdの蓄積する部位が異なることが報告されていて、前者は主に葉と根に蓄積するのに対し、後者は根に蓄積する。そこで2種類のタバコ植物種におけるCdの蓄積機構を明らかにすることを目的として実験を行った。 約1か月間栽培したタバコ(N.tabacum L.cv.XanthiとN.rustica)を100μM Cdを含む培養液で、約2~4週間栽培した。根、茎、葉の部位別に分けて凍結乾燥後、錠剤試料を作成し、Cd K吸収端のXAFS測定を行った。また試料の根を切り出し、先端付近と基部について凍結ミクロトームで約30μmの切片を作成した。試料の凍結状態を維持して、高エネルギーμ-XRFイメージングとμ-XANESを行った。 2種類のタバコの根、茎、葉のXAFSスペクトルは、参照物質であるファイトケラチン-Cd又はメタロチオネインのCdとよく似ており、Sと結合していることがわかった。さらに根の先端ではCdが一様に分布していたが、地上部に近い部位において、N.tabacumでは表皮と内皮に、N.rusticaでは内皮に特にCdの蓄積が見られた。またCdが高濃度に蓄積している部位(内皮と表皮)では、Sと結合しているCdの割合が高かった。一方、種によるCdの化学形態の違いは見られなかった。以上のように、同じタバコ属であるN.tabacumとN.rusticaでは、Cdの化学形態には違いが見られず、むしろ根でのCdの蓄積部位が異なったことから、地上部へのCdの蓄積のしやすさは、根でのCdの取り込みや移行機構に起因することが示唆された。
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Research Products
(21 results)