2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20612011
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
今中 康貴 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主任研究員 (70354371)
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Keywords | テラヘルツ / 時間領域分光 / 強磁場 |
Research Abstract |
テラヘルツ領域の新規分光法として近年様々な分野で応用が始まっているテラヘルツ時間領域分光法を、強磁場極低温下といった特殊環境での物性研究に応用するために、離れた場所にある強磁場磁石との融合を目指して技術開発を行った。問題となっていた要素技術は3点で、1:光ファイバによる超短パルス光の伝送、2:光ファイバと光伝導スイッチとの結合、3:磁場中での測定である。1に関してはグレーティングを使用したシステムを構築し、光ファイバの長さに応じた逆分散を施した光パルスを光ファイバに導入することで、出口で50mW、約200fsのパルス光の伝送を実現した。これによりある程度広いギャップを持つ光伝導スイッチでも原理的にはテラヘルツ光発振が可能となり、光伝導アンテナとの結合が容易になった。2に関しては、前年度光ファイバと光伝導スイッチとの直接的な接合に挑戦してきたが、光ファイバとギャップの位置合わせの精度や接着による問題が多いため直接的な接合でなく、極小レンズ等による光伝導スイッチへの集光を行った。その結果、室温で光伝導スイッチに光電流が流れることを確認した。3では、まず今回開発中のテラヘルツ光システムによる実験結果との比較のため、既存のサブミリ波磁気分光システムで1THz以下の領域でのサイクロトロン共鳴測定をZnOやInGaAs2次元電子系試料に関して行った。ポーラロン効果やラシュバ効果に起因する様々な興味深い実験結果を得ることに成功し、様々なところで発表を行った。この後InGaAs2次元電子系の試料に対し、光学台上での短い距離ではあるものの、1Tの強磁石を利用し、テラヘルツ時間領域分光法によるサイクロトロン共鳴の測定を室温下で行い、共鳴吸収によるディップを観測することに成功した。
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