2009 Fiscal Year Annual Research Report
放射光のコヒーレンスと偏光特性を活用した硬X線磁気ホログラフィー法の開発
Project/Area Number |
20612023
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
鈴木 基寛 Japan Synchrotron Radiation Research Institute, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (60443553)
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Keywords | 放射線・X線・粒子線 / 磁気記録 / 磁性 |
Research Abstract |
硬X線を用いたフーリエ変換ホログラフィー測定によってナノ磁性膜の磁区構造を10nm以下の空間分解能で観察する手法の開発を目的とし、平成21年度には電荷散乱による硬X線フーリエ変換ホログラフィー測定、および磁気ホログラフィー測定の開発、数値シミュレーションを行った。 1.電荷散乱ホログラフィー測定の開発:任意のX線エネルギーへの拡張 平成20年度に行った電荷散乱ホログラフィー測定に関して、任意のX線エネルギーへの拡張を行った。大きさ1μm×1μm、線幅200nmの文字パターン試料について、異なるX線エネルギー(5keVおよび11.6keV)での電荷散乱ホログラフィーデータの取得とフーリエ変換による実像回復に成功した。 2.磁気ホログラフィー測定の開発:円偏光X線の利用 Co/Pt多層膜を100nm×100nm角に微細加工したドット試料における磁気ホログラフィー実験を行った。Pt L_3吸収端(11.6keV)において、左右円偏光に対する電荷散乱ホログラフィー像の差分として、試料の磁区構造を反映した実空間像を取得した。実験上の工夫として、参照光源物体として、電子ビームアシストCVD法で作製したタングステン製のナノドットを用いた。これにより、空間分解能30nmでのホログラフィー像の観測が可能となった。 3.数値シミュレーション 磁気散乱ホログラフィーデータのシミュレーションを行い、上記試料に対して得られる磁気コントラストが現状の測定のS/N比と同程度であり、測定におけるS/N比の改善が課題であることを明らかにした。平成22年度は、X線集光ビームを用いて試料に入射するX線強度を高める方法と、HERALDO法と呼ばれる解析法を採用することで、ホログラフィーデータのS/N比と空間分解能の向上を試みる。
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