2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射光のコヒーレンスと偏光特性を活用した硬X線磁気ホログラフィー法の開発
Project/Area Number |
20612023
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
鈴木 基寛 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (60443553)
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Keywords | 放射線・X線・粒子線 / 磁気記録 / 磁性 |
Research Abstract |
硬X線を用いたフーリエ変換ホログラフィー測定によってナノ磁性膜の磁区構造を10nm以下の空間分解能で観察する手法の開発を目的とし、平成22年度には、X線フーリエ変換ホログラフィー法による磁気イメージング実験の高精度化を行った。ホログラフィー測定のS/N比改善のために、HERALDO法(Holography with Extended Reference by Auto-correlation Linear Differential Operator)によるホログラフィー測定を行い、その効果を検証した。試料として、Co/Pt多層膜を電子ビームリソグラフィー加工した磁気ドット試料(100nm角、膜厚44nm)を用いた。磁気ドット試料に近接して、一辺1μmの三角形のAu参照光源をリフトオフ法によって配置した。参照光源の角は、r=20nm程度の鋭角な形状である。このような広がった参照光源をもつ試料に対して、HERALDO法による解析を適用することで、点光源でなく、広がりをもつ参照光源を使っても、高い空間分解能と強い回折強度による統計精度を得ることが期待できる。測定の結果、シミュレーションとよく一致する回折パターン(ホログラム)を得ることができた。微分演算子法による解析を行うことで、試料の実空間像を得る見通しである。 なお、集光X線ビームを用いることによるS/N比の改善も試みたが、測定精度の向上に対する有意な効果は得られず、逆にホログラフィー像が劣化した。理由は、光子数を増大させるために大きな仮想光源を用いた場合に、ホログラフィーパターンの形成に十分な空間コヒーレンス長を確保できなかったためと考えられる。
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