2010 Fiscal Year Annual Research Report
超コンパクト・マルチバンチZ偏光フォトカソード電子銃の開発
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20612024
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
冨澤 宏光 (財)高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 副主幹研究員 (40344395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出羽 英紀 (財)高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 副主幹研究員 (20360836)
谷内 努 (財)高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 副主幹研究員 (60360822)
水野 明彦 (財)高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 副主幹研究員 (30360829)
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Keywords | ラジアル・アジマス偏光 / Z偏光・フェムト秒レーザー / ショットキー効果 / フォトカソード / Z偏極電子源 / RF電子銃 / X線自由電子レーザー(XFEL) / 次世代放射光加速器 |
Research Abstract |
平成22年度は、前年度に開発した円環レーザビームの自動調整システムを活用し、レーザ・プロファイラーで円環ビーム強度分布とその位置の再現性を評価することで、本格的なZ偏光生成の自動最適化を行った。具体的には同一中心を持つ外円と内円で完全円環を表現することで、円環ビームの完全度を内外円の直径と中心位置の差を最小化する最適化制御を実施した。これにより、Z偏光電子銃装置内のホロービーム入射光学系(穴あきミラー面)に再現性をもってラジアル偏光・円環ビーム入射が可能となった。これに伴い、真空中に設置した円環ラジアル偏光を最終的に集光するアキシコンレンズの焦点距離の最適化が必要となった。このレンズを再設計して交換することで、カソード面上でZ偏光を再現性よく実現することが可能となった。 Ti : Saレーザの3倍高調波(264nm)を用い、ラジアル偏光素子の直前にある半波長板を連続回転することで、ラジアル偏光からアジマス偏光に連続的に変化させて実験を行った。これにより、電子放出の増減が起こるかどうかの確認を行った。カートリッジ型カソード方式・RF電子銃装置に銅カソードを複数個組み込み、カソードの個性を排除して実験した。最終的に、銅カソード表面に約2GV/mの電界を立てることに成功し、ラジアル偏光の集光時(Z偏極電場が最大)のみ、電子バンチのチャージ量の増大が見られた。表面ポテンシャルをもつ金属カソードでのZ偏光レーザ照射による電荷量のエンハンスメントが確認されたことで、レーザ電界によるショットキー効果を世界で初めて実証した。 また、中赤外域でのZ偏光を用いた、NEA面を用いないスピン偏極電子源の可能性を詳細に検討し、その成果を国際学会で発表後、学術雑誌に論文投稿した。ここで必須となる長波長域でのラジアル偏光素子の安価な作成方法を発明し、他の分野にも価値ある内容であるため、特許出願をした。
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Research Products
(7 results)