2009 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算による安全、低コスト元素を用いた透明伝導体の開発
Project/Area Number |
20613002
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 恒夫 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究員 (30345095)
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Keywords | 計算物理 / 元素戦略 |
Research Abstract |
本研究では、第一原理計算の立場から、ドーピングによる化学結合と電子物性発現の関係を明らかにし、稀少金属(レアメタル)と同等の性質をもつ安全・低コストの代替物質の設計を目的としている。 H21年度はH20年度に引き続き、ITOに替わる透明電極材料として、ニオブ元素(Nb)ドープ・アナターゼ型酸化チタン薄膜(TNO ; Titanium Niobium Oxide)の電子状態計算とシミュレーションによる伝導性の解析を行った。 分光測定などにより、隣接Nb-Oi構造(Oiは格子間酸素)とNb-VO構造(VOは酸素欠陥)の存在を仮定することは妥当であると考えられているが、我々は実際にNb-VO構造のバルク安定構造探索を系統的に行った。単純な規則的Nb-VO構造を第一原理計算で評価すると、従来の報告とほぼ同じオーダーでの不安定性が見積もられた。そこで、不規則的なNb-O構造をもつ複合体の評価及び、そこから第一原理バンド計算が可能となるような単位格子構造モデルを抽出する為に、VO-Nb相互作用、O-Ti相互作用等2体相互作用ポテンシャル関数パラメータを第一原理計算から決定し、古典力学手法に簡約した大規模な構造探索を行う為のパラメーターセットを構築した。 さらに、VOとOiの場合での、モデル構造でのバンド計算を行い、VO-Nb-VO構造やVO-Ti-VO構造など、4配位のNbとTi原子を含む電子構造由来のバンドから、NbおよびTi原子の負への帯電と高伝導性の関係を明らかにした。また、線形応答理論による伝導度第一原理計算の理論的定式化も併せて行い、不純物系への滴用を可能とした。
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