2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20613004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大木 靖弘 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10324394)
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Keywords | 鉄 / 配位不飽和 / 有機金属錯体 / C-H結合活性化 / N-ヘテロ環カルベン |
Research Abstract |
平成20年度の本研究課題では、高い反応性を示す鉄錯体を新たに合成した。 鉄錯体の設計指針として、以下の3つを設定した。(1)高い反応性が期待できる配位不飽和錯体を合成する、(2)有機基質との親和性を高めるために、有機基を積極的に導入する、(3)反応する鉄周りの配位環境を比較的制御しやすい半サンドイッチ型の錯体、すなわちC_5Me_5(Cp*)基もしくはC_5H_5(Cp)基を一つ導入した錯体を合成する。 この指針に従って、まずCp*基を持つ配位不飽和な鉄錯体の合成を検討した。Cp*Feアミド錯体にイミダゾリウム塩を作用させたところ、アミド配位子によってイミダゾリウム塩が脱プロトン化され、N-ヘテロ環カルベン配位子(NHC配位子)を持つ配位不飽和な半サンドイッチ型鉄クロリド錯体が得られた。さらにメチルリチウムを加えてクロリドを置換すると、NHC配位子上の置換基がメシチル基の場合には鉄メチル錯体が生成し、iPrの場合には鉄メチル錯体を生じた後にNHC配位子がシクロメタル化した錯体が生成した。シクロメタル化した錯体は、アルゴン雰囲気下では単核錯体として存在するが、室温で1気圧の窒素と速やかに反応し、二つの鉄を窒素分子が架橋した二核錯体を与えた。窒素分子の配位は可逆であり、得られた分子窒素錯体の溶液をアルゴン雰囲気下に置くと、窒素分子を放出して単核錯体を再生した。 合成した一連の錯体は、分子窒素錯体を除いて全て常磁性化合物であったため、NMRスペクトルでは同定出来なかったが、全て結晶として単離し、X線構造解析によってそれらの分子構造を決定した。
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Research Products
(12 results)