2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20613004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大木 靖弘 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10324394)
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Keywords | 鉄 / 配位不飽和 / 有機金属錯体 / C-H結合活性化 / N-ヘテロ環カルベン |
Research Abstract |
平成21年度の本研究課題では、配位不飽和な半サンドイッチ型鉄錯体を用いて有機化合物のC-H結合活性化を検討した。 昨年度の本研究で合成した、N-ヘテロ環カルベン配位子がシクロメタル化した配位不飽和な鉄錯体に対して、様々な有機基質を作用させた。その結果、この錯体が室温で速やかにフラン類、チオフェン類、ピリジン類等のヘテロ芳香環のC-H結合を切断することが明らかになった。フラン類、チオフェン類のC-H結合活性化は2-位選択的に進行し、ピリジンの場合は2-位と4-位の両方でC-H結合活性化が進行し、ヘテロアリール基を持つ鉄錯体を与えた。この反応では、切断したC-H結合に由来する水素原子がシクロメタル化した配位子へ移動し、メタラサイクルを解消することも確認した。このC-H結合活性化反応は可逆であり、単離した鉄-ヘテロアリール錯体を溶解させると、元のシクロメタル化した錯体とヘテロ芳香環をわずかに生じた。そこで反応の平衡定数を幾つかの温度で測定し、Van't Hoffプロットから反応前後の熱力学的パラメータ差を求めた。 シクロメタル化した鉄錯体にヘテロ芳香環を反応させて鉄-ヘテロアリール錯体を発生させ、さらにカテコールボランを作用させたところ、ボリル化したヘテロ芳香環と鉄ヒドロボレート錯体が得られた。つまり、鉄錯体を用いてヘテロ芳香環のC-H結合がC-B結合へ変換できることが明らかになった。この反応は化学量論的であるが、得られた知見に基づいて触媒反応へ展開することは原理的に可能と考えられる。 なお、得られた一連の鉄錯体のほとんどは常磁性であるため、NMRスペクトルに基づいて同定することは困難であったが、すべて結晶化しX線構造解析によって分子構造を確認した。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Evidence for a Rapid Degenerate Hetero-Cope-type Rearrangement in Cp*W(S)_2S-CH_2-CH=CH_22009
Author(s)
Florian Eweiner, Shunsuke Senda, Klaus Bergander, Christian Muck-Lichtenfeld, Stefan Grimme, Roland Frolich, Michiko Aoyama, Hiroyuki Kawaguchi, Yasuhiro Ohki, Tsuyoshi Matsumoto, Gerald Kehr, Kazuyuki Tatsumi, Gerhard Erker
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Journal Title
Chem. Asian J. 4
Pages: 1830-1833
Peer Reviewed
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[Journal Article] Synthesis, Structures, and Electronic Properties of[8Fe-7S]Cluster Complexes Modeling the Nitrogenase P-cluster2009
Author(s)
Yasuhiro Ohki, Motosuke Imada, Yusuke Sunada, Ayuro Murata, Shun Ohta, Masaru Honda, Takahiro Sasamori, Norihiro Tokitoh, Motomi Katada, Kazuyuki Tatsumi
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc. 131
Pages: 13168-13178
Peer Reviewed
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