2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20613004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大木 靖弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10324394)
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Keywords | 鉄 / 配位不飽和 / 有機金属錯体 / C-H結合活性化 / N-ヘテロ環カルベン |
Research Abstract |
平成22年度の本研究課題では、これまでに得られた知見を基盤として、鉄錯体を触媒とするヘテロ芳香環の触媒的なC-Hボリル化反応を達成した。 昨年度の本研究で達成した、シクロメタル化した配位不飽和鉄錯体によるヘテロ芳香環のC-H結合活性化反応は、化学量論的なものであり、そのままでは触媒的なC-H変換反応へは応用できない。シクロメタル化部位がボランと反応してしまうことと、鉄錯体が熱的に不安定であることが問題であったため、それらの問題を解消して触媒反応へと展開するために、メタラサイクルを持たない鉄錯体の合成を目指した。種々検討した結果、Cp*Fe (TMEDA)Cl錯体とメチル基を持つN-ヘテロ環カルベン配位子(NHC)、およびメチルリチウムのone-pot型反応から、新たな配位不飽和鉄-メチル錯体が得られることが分かった。このメチル錯体は、フラン類やチオフェン類、ベンゼン、トルエンのC-H結合を穏和な条件で切断することが分かった。さらに、C-H結合切断により生成する鉄-アリール錯体は、ピナコールボランを反応させるとヒドロボレート錯体を生じ、さらにヒドロボレート錯体を過剰量のtert-ブチルエチレン存在下で加熱すると、鉄-アルキル錯体が得られた。このアルキル錯体は、鉄-メチル錯体と同様に芳香環のC-H結合を切断できるため、触媒サイクルを完成させることが可能であった。実際、フラン類やチオフェン類のC-Hボリル化反応は、10mol%の鉄錯体存在下で触媒的に進行した。本触媒反応は、鉄を触媒とするC-Hボリル化反応の初めての例であるだけでなく、反応機構を詳細に解明した数少ない均-系触媒反応の一つでもある。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Exploring the Limits of Frustrated Lewis Pair Chemistry with Alkynes : Detection of a System that Favors 1,1-Carboboration over Cooperative 1,2-P/B-Addition2010
Author(s)
Chen, C. ; Eweiner, F. ; Wibbeling, B. ; Frchlich, R. ; Senda, S. ; Ohki, Y. ; Tatsumi, K. ; Grimme, S. ; Kehr, G. ; Erker, G.
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Journal Title
Chem. Asian J.
Volume: 5
Pages: 2199-2208
Peer Reviewed
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