2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20613007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横尾 俊信 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (90158353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 陽明 京都大学, 化学研究所, 助教 (30372551)
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Keywords | 低融点ガラス / 量子化学計算 / 耐水性 / 軟化温度 / 無溶媒アルコール縮合 / 軟化温度 |
Research Abstract |
有機-無機ハイブリッド材料は、種々の機能の賦与が可能な有機部と、耐久性を備えた無機部から成り、近年注目を集めている。我々は、有機修飾塩化シランとリン酸を出発原料として以下の式で示される反応を用いて、有機-無機ハイブリッドケイリン酸塩ガラスを作製してきた(無水酸塩基法)。 R2SiCl2+P(OH)30→R2SiCl-O-P(OH)20+HCl↑ このガラスは低温溶融性を示すことからエレクトロニクス分野において鉛ガラスに替わる封着・接着剤として期待できるほか、有機色素・希土類イオンをドープすることが出来るためフォトニクス分野への応用も期待される。しかし現状では耐水性が低いことが大きな問題点であり、その向上が必須である。我々は、これまでに分子軌道計算を用いてガラスの加水分解機構を解明し、耐水性の高いガラスの設計指針を示してきた[2]。その結果、ガラスの加水分解には酸が大きく影響を与えることが分かり、無水酸塩基法に替わる方法として塩酸の発生しない、有機修飾エトキシシランを用いた方法でガラスの作製を行い、耐水性が向上することを示した。しかし、依然として耐水性は実用レベルでは無い。一般に、耐水性の低いケイリン酸塩ガラスの耐水性の向上にはAl3+の添加が有効であると知られているため、我々のガラスに対してもAl3+の添加効果を調べ、耐水性の向上を目指した。 出発原料として有機修飾エトキシシランとリン酸(オルトリン酸またはフェニル亜リン酸)を用いた。また、耐水性の向上を目的として1-10mol%のアルミニウムアルコキシド(アルミニウムエトキシドまたはアルミニウムイソプロポキシド(AIP))を加えた。反応は窒素雰囲気下で行い、所定の温度(200-300℃)で3h保持することによりガラスを得た。 Al3+の添加量に応じて、軟化温度および耐水性が高くなることを確認した。NMRの結果から、添加したAl3+はほぼ100%リン酸と反応し、六配位構造をとることが分かった。Al3+を加えると、リン酸の二重結合酸素が共鳴構造をとり、耐水性が向上すると考えた。
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